注意を引くために途中からスタートしたこの「名画とカートゥーン」シリーズ、みなさまにそのおもしろさも伝わったことと思いますので、あらためて最初に戻します。西田
0:サロン
17世紀から20世紀初頭まで、フランスの芸術作品は、サロンと呼ばれる公募展を主催する芸術アカデミーによりコントロールされてきた。フランスではアカデミーとはフランスの文化的創造物を育て、批判し守る組織なのである。

1:サロン1787
1737年より、この絵画展はほぼ毎年開かれてきた。最初のうちはルーブルで、そのあとはシャンゼリゼ通りに近い建物で。

2:サロン1824
政府に後援されたこの恒例の絵画展は広大な商業施設で催され、チケットをもった大衆が招かれた。オープニングは壮大な社交の祭典だったのである。

3:ドーミエ 「ヴィーナス」/大衆
もちろん大衆の無知や愚かさ、プチブル趣味を笑うたくさんのカートゥーンがある。しかし、このテーマについてはひとつをお見せするだけで十分だろう。

サロンで描かれたスケッチ
「今年もヴィーナス、いっつもヴィーナス、まるでこの世にこんな女がいるみたいね!」
*日本の博覧会に初めてヌードが出品されたときは大騒動だった。警官が裸体の局部に布をかけて隠したり、
(黒田清輝「朝妝事件」)、新聞に掲載されるときは下半身を布で覆った。それを風刺したジョルジュ・ビゴーの漫画(1895)はドーミエよりさらに辛辣である。

4:サロン1880/カタログ
サロンに収益をもたらすために、絵画は番号をふって展示された。鑑賞者は作品のタイトルや出品者の名前を知るためにはカタログを買わねばならなかったのである。
ダンタン作のこの絵の中に、カタログを見る鑑賞者や机に座ってカタログを売る女性が描かれている。
このような状況をカムは漫画にしている。

*「ちょっと座らせてくださいな、マダム。今年のこのいまいましい展覧会はずっと先まであるんだ」
5:カム/番号
漫画家は、自分のパロディカートゥーンに、画家のサロンへの展示作品と同じ番号をふった。
